■街の一句  2012.10.7


包みてもドーナツ匂ふ夜長き   井上郁代


作者は部屋の片隅に置かれた包みの中がドーナツだということを知っている。

自分で包んだからかも知れないが、匂いでわかるのである。

秋の夜長、作者はずっとこの包みを意識している。

実は食べたいのだ。

嘆覚が食欲という本能を刺激する。

自分の感覚に正直な作品と言えよう。

             (今井聖) 

                
           (これまでの「未来区鳥瞰選評より)

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