VISIBLE (76)


今井 聖






ロープから女の素足降りてくる

月見草過り搭乗機まで歩く

月一の親権夏休みのカステラ

猿山が一つ雲の峯二つ

湯元とふ小さき囲ひ山法師

祖母直伝の捕虫網使ひなり

俳人作のメロン届きぬ出雲より

校舎から厩舎の見ゆる白雨かな

微動だにせぬ芸のあり夏燕

五年越しの海運株と夏に入る

葉桜の下の掲示の「退学者」

青芝を削ぎドリブルのなほ進む

茄子苗出すボルボのハッチバックより

住職の妻に貰ひし苺ジャム

映研の勧誘机夏鶯

マル暴の肩幅が来る雲の峯

六月の象の頭の起伏かな

歌ふ口して出目金の病んでをり

終電の吊り広告の青田かな

少し変へて身上書二枚さくらんぼ

祖父の忌や入道雲からトテチテタ

紫陽花や団地一棟もぬけのから

望遠鏡顕微鏡春の窓二つ








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