先鋒四十七士 今井 聖 撰

2015.10.1(「街」115号 解放区・自由区より 順不同)






ネオン点き黴の胞子の飛ぶ夜かな          松野 苑子
養蜂箱払はれし跡夏の月          紅葉 栄子
汗拭ふ力士の皮膚の面積よ          森山いほこ
リンパ腺無き腕ばかり汗をかく          矢部 敏江
羊水のごとし螢を抱く闇は          横山香代子
孤独とふ力ありけり夏岬          安藤 尚子
除染土を突き破りたる今年竹          池田 義弘
台風を迎へ撃つ気の卒寿かな          池本 光子
理髪店の縞の日除けや犬眠る          大森  藍
ヨガの日の行きのみ覗く燕の子          片山いづみ

立葵まつすぐ向きて憎まるる          木村 厚子
筋肉を尾の根に集め蘭鋳は          有馬 ルイ
沖縄と交換したる兜虫          石川 暘子
戸締りのあとの増殖夏館          井上 郁代
プールべり歩く速さの自由形          大井 正志
扇子絵の蛙変化す閉ぢるとき          岡田とく子
毒消売の季語消えて越後朱夏          小黒  正
アレルギー性植物一覧団扇絵に          金丸 和代
愛を問ふ氷いちごの唇で          河野けいこ
炎昼やサリーの端に子を包む          草野 早苗

とんばうの止り阿闍梨の袈裟は緋に          栗林  浩
梅雨明けの漁船が飛ぶよ富山湾          小泉ゆき江
帰省子のギンガムチェックワンピース          後藤 恵子
八月の雲より一万本の針          柴田 千晶
新しき笊を加へて梅を干す          寺田 達雄
送り火の淡き煙の草に触れ          長岡 悦子
風船に恋知らぬ息入れくれぬ          秦  鈴絵
賞味期限無かりし頃の祭の夜          半澤登喜惠
R12R15と明易し          廣野 順子
一クラスほどの向日葵咲き揃ふ          松田佳津江

バス停の丸き日陰に顔寄せて          三井 澄子
一本の貨車と花火の土手交叉          箭内  忍
夏空へ漕ぎ出す形美術館          吉永 興子
天道虫火を消す息で飛び立たす          浅野 糸江
写真無き「人民日報」夕立来          天野 沙子
振り向くな渡れ炎帝となれ光れ          興梠  隆
蘭鋳の真正面は恥づかしき          小久保佳世子
皮?かれ現はる桃の片笑窪          小峰八重子
空つぽの路面電車や遠花火          杉山 文子
一式の釣具の中のサングラス          杉山 愉一

蠛蠓を抜け出してこのスリッポン          髙勢 祥子
蓼の花鱏の如くにキャデラック          竹内宗一郎
一灯をたのみて進む夜振かな          茸地  寒
帰省せり阿讃山脈くろぐろと          たなか 游
籠入りの赤子を樹下に避暑家族          富田はなえ
指ですることの極みや鮎に塩          中江 智子
目頭と目尻に緋色祭笛          西澤みず季




| ■ HOME

«  | ホーム |  »