VISIBLE (67)


今井 聖






亡き犬の糞りし辺りに罌粟坊主

今日は犬連れざる人の夏帽子

遠泳の浜にボンタン飴の箱

大島が見ゆる日西瓜提げ来る

鍵を置く青鬼灯の鉢の下

入道雲恩師のやうな牛に逢ふ

捕虫網国会議事堂前で降り

虫籠をはみ出す肢に指触れて

父が畝盛り上げてゐる月の中

少し違ふ遺影と遺品のサングラス

流星や配車無線の声割れて

虫籠に霧吹く項白々と

四五本で飽く花火にも故郷にも

クロアチアは喉の形月明に

秋の蜂ゼウスの喉を上り行く

穭田のやうな家庭内ざらざら

布袋さま眠る秋夜の鶴見線

秋蟬や座高を測るときの顎

蜻蛉湧く中央構造線の上

蜩や漂白中の白衣の嵩

ううむううむと長月の室外機

星月夜ガチャカプセルの中に顔


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