VISIBLE (80)


今井 聖







白鷺が発つ県予選外野席

亜種として晩夏の浜を上りくる

絵日記の朝顔色も数も嘘

脱穀の埃の中の父母祖父母

アザラシ舎の壁の太平洋も秋

ペンギンは途方にくれて秋の暮

鮫の斑の一点にわが少年期

わが影より海月拡散してゆきぬ

オノ・ヨーコらし黄落の神楽坂

燕去ぬポケットチーフくしやと差し

稲妻や貨車の向かうに兵の足

流星を喰らふ真赤な深海魚

蟋蟀が跳ねすかすかと空気入

蟋蟀の執事出で来るドールハウス

蟋蟀の跳ねて秣の中に落つ

基督が飛び出す絵本秋の夜

虫籠を頭に乗せてチェックイン

心まだ映画の中や年の市








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