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先鋒 今井 聖 撰

(「街」137号 解放区・自由区より 順不同)







胸元の膨らみ女雛男雛にも      小久保佳世子
初蝶の集まつてゐる金精神      柴田 千晶
雛みな一重瞼や佐賀平野      末次  正
春深し鏡のやうな魚の眼      杉山 愉一
駅伝の選手のやうな土筆かな      竹内宗一郎
楤の芽の天ぷらで呑む訴訟あと      茸地  寒
燕や列柱朱き紫禁城      長岡 悦子
春泥やくるぶし鶏の眼めく      西澤みず季
二月来る薄き眉毛に足すグレー      半澤登喜惠
春寒の微かな割れ目呼吸せり      穂阪 幹子

的にある矢の穴の数四月来る      松野 苑子
春の雨もえぎの菓子の松江かな      栗林  浩
桃の日や葉蘭に包む散らし鮨      鈴木八千代
昼休みカーテンの内暖かし      髙勢 祥子
三点倒立こめかみのあたたかさ      高橋 麗子
春の月家に体温あるごとし      富田はなえ
レンタルの手摺に春着干してをり      中庭加津昭
黄沙つもる三百年の蘇鉄かな      西村 小市
階段の途中から海初燕      二本柳映子
花の下手桶の箍の位置正す      袴田 知子

パレットは洗はぬままに土筆見に      秦  鈴絵
若草を蹂躙したるサイドカー      蜂谷 一人
並走す貸自転車としやぼん玉      森山いほこ
春泥の罅より目玉飛び出せり      浅野 糸江
疑問符の形や雪の一本松      池田 義弘
砂時計桜の夜を落ちてゆく      池本 光子
残れるは聴覚冬のシクラメン      伊藤 容子
麦青む共に吹かれて共に老ゆ      大嶋 邦子
夕東風や一人ともづな抛る影      大森  藍
汚くて安くて桜が見える店      北大路 翼

口笛で呼ばれてをりぬ春の雲      木村 厚子
産廃車置き場の新車春の霜      金丸 和代
東京にゆく人ばかり鳥曇      河野けいこ
子供がゐる子供がゐない花の淵      草野 早苗
旅を経て黒豆煮たる暮の春      久保田寿子
渋谷駅遅日の誰もぶつからず      府川 雅明
加工して菜の花畑にゐる遺影      藤尾 ゆげ
桃活けて戸籍課にある筆談器      藤木 裕子
パトカーが過ぎ木蓮のハレーション      箭内  忍
鍬打てばみみず輝く吉里吉里忌      八尋舜一郎

うららけしぎんぽは海に戻さるる      吉永 興子
夏蝶を咥へて鳥の降りて来る      鷲巣 正徳
菜の花や子供は怖い雲が好き      天野 沙子
牛舎毀ちぬ連翹の垣残し      石川 暘子
三月の見開きに海切り取られ      井上 郁代
登校の列に割り込む春氷      大竹 照子
頭で押して開くる雨戸や寒に入る      岡田とく子





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