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先鋒四十七士 今井 聖 撰

(「街」136号 解放区・自由区より 順不同)







冬霧の塔ある方へ地図回す      小久保佳世子
折れ曲がり湯船を洗ふ春の暮      斎藤 悦子
餅花や影絵のやうな母と居る      柴田 千晶
わくわくと妻の検査値冬たんぽぽ      末次  正
自治会の一人は橇で帰りけり      竹内宗一郎
天皇の退位切干煮てをりぬ      たなか 游
待春や乗馬クラブに山羊二匹      玉田 憲子
いま採りしこのぬくもりが蕗の薹      寺田 達雄
はにかみて姜尚中の毛糸帽      長岡 悦子
鮟鱇食み油田を語る漢かな      西澤みず季
冬の花火遥かに伽藍のシルエット      半澤登喜惠

ペリカンの嘴を零るる寒の水      岡田とく子
開け閉ての軽くなりたる二月かな      小黒  正
鮟鱇鍋の向かう仏壇ぐにやぐにやと      金丸 和代
春寒し青き紙幣にエリザベス      佐伯知恵子
立ち飲みの男の喪服寒波来る      菅原はづき
大いなるものを恐れて兎止まる      髙勢 祥子
双六の何度も一つ戻されし      高橋 麗子
サイフォンの泡より出づる宝船      田中  圭
百歳の葬りたちまち雪見酒      土屋みさ子
夜通しの除雪終へたる子にもつ煮      富田はなえ
借用証ウサギ穴から出るわ出るわ      中江 智子

蹴りたき背抱きたき背あり十二月      藤崎 幸恵
ガスの火の蒼き隙間の湯ざめかな      松野 苑子
寒牡丹死して骨董癖知らる      紅葉 栄子
九谷焼日向づたひに選ぶ店      森島 裕雄
流星の見ゆる机を子に貰ふ      森山いほこ
昼の火事美容室より見下ろして      浅野 糸江
雪嶺や白髪いただきウオーキング      池田 義弘
寒の雨狸の糞まりを崩しけり      池本 光子
毀れゆく人の食欲年明くる      伊藤 容子
顔に冷え集まつて来る遠筑波      大嶋 邦子
煌煌とセブンイレブン厄落      大西 龍一
掌にぬくき地卵一つ冬木の芽      大森  藍
剃つてから四日経ちます寒昴      北大路 翼

寒々と銀座とらやに如雨露一つ      並木 光世
あんめんと終はる祈りや寒椿      二本柳映子
薄氷を見しは我ではあらぬとき      秦  鈴絵
なみなみと朧をみたし馬上盃      蜂谷 一人
荒釘に輪飾り吊し昆布干場      半田  稜
蕗味噌を記憶で作り供へけり      坂東 文枝
マスクして次は通行人の役      樋口亜茶子
縄跳の中に電車の往還す      府川 雅明
雪卸し有給休暇使ひ切る      松田佳津江
夜着つけて百鬼夜行に加はりぬ      箭内  忍
鬼やらひ赭土染みる島の海      八尋舜一郎
胎動のうれしおそろし龍の玉      井上 さち




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